いじり防止ねじとは?トルクスネジ、いたずら防止ねじとの違いとは?
いじり防止ねじとは?
いじり防止ねじには、実は様々な解釈があるのが事実です。よくある説明は、下記の通りです。
「いじり防止ねじとは、センターに突起があるタンパープルーフがついたねじです。」
「いじり防止ねじとは、トルクスネジのことです。」
「いじり防止ねじとは、六角星型のトルクスの真ん中にいたずら防止として突起があるねじのことです。」
「いじり防止ねじとは、T型のトルクスねじの中央部にいじり止めの突起物を設けたもので、いじり止めトルクスねじともいいます。」
このように、
・トルクス
・いたずら防止
・タンパープルーフ
・いじり防止
・いじり止め
と様々な言葉が混在されて説明されているため、結局いじり防止ねじとは何か?ということが非常にわかりづらくなっています。
今回のコラムの結論は、上記のうち4つ目の説明にたどりつくのですが、様々な言葉の説明と、本当のところのいじり防止ねじとは何を意味するのか、最後に当社のいじり防止ねじの製品実績まで、まとめてご紹介いたします。
トルクスネジとは?
トルクスとは、英語では”TORX”と書きますが、アメリカの会社が開発した六角星形のねじの頭部形状の規格のことを意味します。
このトルクスという名称は、商標登録されている名称です。そのため一般的な規格としては、ISO 10664でヘクサロビュラ・インターナル(hexalobular internal)とされています。また、6個の突起・耳たぶとして、ヘックスローブまたはヘクスローブとも呼ばれています。
そのため、トルクスという名称は特定のライセンスと技術指導を受けなければ使用することができない規格となります。一般的にヘクサロビュラ、ヘックスローブ、ヘクスローブという言い方が多いのは、このような理由になります。言い方が異なりますが、トルクスも含めてすべて上写真のような六角星形のねじであることには変わりありません。
>>>トルクスネジとは?特徴とメリットやデメリットまで紹介
いたずら防止ネジとは?
いたずら防止ネジとは、特殊な方法でしか取り外し困難な仕組みとなっているネジです。いたずら防止ねじは、一般的に売られているプラスドライバーやマイナスドライバー、六角レンチなどでは取り外すことができず、専用の工具が必要となります。
その名の通り、いたずらにネジが簡単に外されないことで、重大な事故の発生、盗難等を防ぎます。具体的には電気メーターのや自動車部品、産業機器等で使われています。通常ドライバーでは外すことができないため、専用工具が必要です。
>>>いたずら防止ネジとは?由来と特徴・特殊事例について
タンパープルーフとは?
タンパープルーフとは、不正な(許可のない)改ざんや改造、いたずらによって、製品やシステムの機能低下、違法行為、危険状態を回避・防止する設計の考え方のことです。別の言葉でタンパーレジスタンス(tamper resistance)という言葉もありますが、これは耐タンパー性という言い方が一般的で、主にソフトウェアやハードウェアのようなIT系の用語と共に用いられるケースが多いです。
あくまでも、タンパープルーフの代表的な例として、専用工具が必要となるネジである、ということが大切です。
実際にタンパープルーフが反映されたネジは、例えば下記のような場所に使用されるケースが多いです。
・ゲーム機
・パソコン
・防犯カメラ
・フェンス
・公園の遊具
・自転車のサドル
・自動車
・自動販売機
最も身近な例としては、任天堂のコントローラー、Appleのパソコン、が代表的な例として取り上げられています。
>>>タンパープルーフネジは、いたずら防止ねじ?それともいじり防止ねじ?
結局、いじり防止ねじとは?
では、いじり防止ねじ・いじり止めねじとは何を意味するのでしょうか。
意味的にはいたずら防止ねじと同じのように聞こえますし、意味としても間違っていません。ただし一般的な話としては、いじり防止ねじはT型トルクスネジ(ねじにヘクサロビュラの凹があるねじ)の穴中央にタンパープルーフとしてのピンがついたネジを意味します。これは、対応するドライバーやレンチも、ヘクサロビュラ形状で真ん中に穴が開いた専用工具でなければ、ねじを緩めることはできません。このような意味で、いじり防止ねじはいたずら防止ねじの一種と捉えることができます。
そのため、T型トルクスネジの中央部に突起があるものを、いじり防止ねじ、いじり止めトルクス、いじり止めヘックスローブ、いじり止めヘクスローブ、セキュリティートルクス(Torx TR:TRはTamper-Resistant の頭文字)と一般的には呼ばれています。
また、一昔前はトルクスネジ自体が日本では珍しかったため、トルクスネジ=いたずら防止ねじ、いじり防止ねじ、ということもありました。しかし近年はその機能性やデザイン性から、トルクスネジも国内で人気となり、ホームセンターでも気軽にトルクスネジ用のドライバーを手にすることができるようになりました。つまり、トルクスネジは改善防止や盗難防止のために使用することが難しくなり、いたずら防止ねじとしては扱われなくなりました。
そこで、突起がついたセキュリティートルクスのことを、いじり防止ねじとして扱うようになり、いたずら防止ねじはそうした専用工具でなければ操作できない特殊ネジの総称を言うようになりました。
いじり防止ねじの用途としては、携帯電話、コンピュータ、自動車、ゲーム機など、改ざんや改造を防止したい機器に多く使用されています。
また、T型トルクスネジ用の工具が、いじり止め穴付きドライバー、いじり止め穴付きヘックスローブレンチとして販売されることも多く、こうした影響もありT型トルクスネジの突起付きのものを、いじり防止ねじと言われるようになっています。
トルクスネジ、いたずら防止ねじ、いじり防止ねじのまとめ
では、ここまでの内容を元にまとめていきたいと思います。
トルクスネジ
星形形状のねじ。真ん中の突起の有無は関係なく、星形のねじの総称を言う。従来はトルクスネジの形状もいたずら防止機能があったが、市販品のドライバーにもトルクス形状が出てきているため、現状は「トルクスネジ≠いたずら防止ねじ」という解釈が一般的。
いたずら防止ねじ
市販品のドライバーやレンチ等では取り外すことができない、専用工具による締め付けや取り外しが必要なねじ。真ん中の突起の有無は関係なし。様々なリセス形状あり。
いじり防止(いじり止め)ねじ
いたずら防止ねじの一種。T型トルクスネジの真ん中にタンパープルーフ(いじり防止機能)としての突起を設けたものを指すことが一般的。
タンパープルーフ
不正開封(いたずら)防止機構のこと。タンパープルーフネジという場合は、本来の意味的にはいたずら防止ねじのことを指すが、「T型トルクスネジの真ん中の突起=タンパープルーフ」という認識が一般的のため、いじり防止ねじ、いじり止めねじのことを指すことが多い。
非常にややこしい内容ではありますが、ねじを発注する側も、ねじを加工する側も、相手がどの意味でのいたずら防止ねじなのか、いじり防止なのか、ということを念頭に踏まえた上で話し合うことが大切です。
いじり防止ねじの事例:イジリ防止ヘクスローブ皿ネジ
続いて、当社が実際に製作したいじり防止ねじ(ヘクサロビュラにピン付きネジ)の事例です。
こちらの製品は、産業機械向けのイジリ防止ヘクスローブ皿ネジです。お客様が海外で装置を販売するにあたり、イジリ防止の機能を持たせたいとのご要望で、ピン付きヘクスローブの専用サイズで製作いたしました。
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