基板スペーサー・基板ネジとは?基板向け締結部品選定のポイントを解説!

電子機器の小型化や高機能化が進む現代において、機器を支えているプリント基板も高機能や多様化が求められています。この中で基板に用いられる高品質な基板スペーサー・ネジは、ショートや熱暴走を防ぎ、製品の信頼性と安全性を確保します。一般的なカタログ品では満たせない、特殊なサイズや形状、材質が求められるケースも少なくありません。本記事では、基板スペーサー、基板ネジの選定方法や特注の製品事例を紹介いたします。
プリント基板で使用される基板スペーサー・基板ネジとは?
プリント基板を筐体や他の基板に固定するためには、基板スペーサーと基板ネジが不可欠です。これらの部品は、単なる固定だけでなく、電子機器の信頼性を高める上で重要な役割を担っています。

基板スペーサーは、階層構造を持つプリント基板間に適切な空間を確保し、固定や位置決めを行う部品です。この空間は、空気の循環を促して熱を放散させたり、電気的な干渉を防いだりする重要な役割を担っています。

一方、基板ネジは、プリント基板を筐体や他の部品に固定するために不可欠な部品です。単に固定するだけでなく、電子機器全体の性能、信頼性、安全性を左右する重要な役割を持っています。基板ネジは通常、基板への負荷を軽減するためにワッシャーと併用されます。
不適切な基板スペーサーや基板ネジを選定すると、接触不良やショート、振動による破損などを引き起こし、機器の誤動作や寿命低下、最悪の場合は焼損や発火につながる可能性もあります。そのため、使用環境や必要な特性を考慮した最適な部品選定が極めて重要です。
基板スペーサー選定の重要ポイント
基板スペーサーを選定する際には、主に「コスト」「材質」「不具合対策」の3点が重要になります。
コスト面
また、一般的には基板スペーサーは六角材から切削加工で製作されることが多く、使用数量が多くなればなるほどコスト面で割高になります。大量生産を見込んでいる場合には、冷間鍛造で製造できるメーカーを選ぶことが有効な選択肢となります。冷間鍛造では、金型の初期費用はかかりますが、大量生産においてコストメリットが期待できます。
材質
使用環境(高温、高湿、薬品など)に応じて、金属(真鍮、ステンレス、アルミ)か樹脂(ナイロン、テフロン)かを選定する必要があります。また、絶縁性や軽量化の観点からも材質選定は重要です。
不具合対策
基板スペーサーの不具合は、電子部品のショートといった重大な品質問題につながる可能性があります。特に、金属製のスペーサーは経年劣化やバリにより剥がれた粉がショートの原因となることがあります。不具合対策を考慮した高精度で耐久性のあるスペーサーを使用することで基板の寿命が延びます。
基板ネジ(ワッシャ)選定の重要ポイント
基板ネジの選定では、特に「コンタミ対策」と「作業効率」が重要なポイントです。
コンタミ対策
コンタミ(異物混入)は、基板の品質を損なう大きな要因です。ネジの締結時に発生する微細な金属片や、一般的なワッシャーに残存する「バリ」が基板を削ることで発生する削りカスが、回路のショートや誤動作を引き起こす可能性があります。これを防ぐためには、バリを極限まで排除した高精度なワッシャーを選定する必要があります。
作業効率を考慮した基板ネジの選定
一般的なワッシャは、製造工程上、バリが残る面(裏)と、バリが少ない面(表)が存在し、組み立て時に向きを確認しながら作業を行う必要があります。これは、製造ラインにおける作業効率を著しく低下させる要因となります。
両面が研磨された高品質なワッシャを用いることで、作業者がワッシャの向きを気にすることなくスムーズに組み立て作業を進めることができ、製造効率の向上に貢献します。
他にも、ネジと座金が一体となった「セムスネジ」を基板ネジとして選択することで、こうしたヒューマンエラーを防ぎ、組立作業の効率化と品質の安定化に大きく貢献します。
当社が提供する基板スペーサー・基板ネジのポイントとは?
特注形状・サイズのスペーサー、基板ネジ、ワッシャで基板設計をサポート
当社は、10,000種以上の特殊締結部品の製造実績があり、メーカー規格外の特注品に対応しています。材質(鉄、真鍮、ステンレスなど)やサイズ(メートルねじ、インチねじなど)、表面処理(三価クロメート、ニッケルメッキなど)といった様々なご要望にお応えし、お客様の製品設計をサポートします。
基板スペーサー:冷間鍛造+二次加工でのコストダウン
一般的な六角材からの切削加工ではなく、冷間鍛造で金型内で六角形状とタップ下穴を成形し、二次加工でタップ加工して製作することで、コストダウンが可能です。また、規格品からの追加工等にも対応しております。
基板ネジ:バレル研磨による角R保証付き高精度ワッシャー
ワッシャー製作に強みを持つ協力企業様独自のバレル研磨技術により、バリを極限まで排除した「角R保証付き平座金」を提供しています。これにより、ネジ締結時の基板へのダメージを大幅に低減し、コンタミの発生そのものを抑制します。この高精度ワッシャーを組み込んだセムスネジとしての提供も可能で、作業効率の向上と品質安定化に貢献します。
基板スペーサー・基板ネジの製品事例をご紹介
スペーサーM5×21-S=11

こちらの製品は端子、スペーサーと言われる製品になります。冷間圧造で、金型内で六角形状とタップ下穴を成形し、二次加工にてタップ加工を実施しております。タップ内には、電解メッキは溶着しにくいので、注意が必要になります。
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基板スペーサー・基板ネジの特注製作は当社にお任せください!
いかがでしたでしょうか。本記事では、プリント基板を支える基板スペーサー・基板ネジについて解説いたしました。
特殊ネジ・リベット製造.comを運営する株式会社カネコは、ネジやリベット、ピンなど様々な締結部品の2次加工と冷間鍛造における日本屈指のプロフェッショナルとして、様々な特殊ネジや特注リベットの製造・2次加工を行ってきました。
また当社は、全国各地にあるネジ加工のサプライヤーと構築した強固なネットワークを保有しています。 そのため、当社によるVA/VE提案をするだけでなく、最適なネジ加工のサプライヤーも踏まえたコストダウン提案をすることができます。 つまり当社では、加工技術にあまり詳しくないネジ商社と比較して、より安く、よりお客様のご要望に沿った締結部品を提供することが可能となり、これらの理由から大手メーカー様からも支持されてきました。 特殊ネジに関するお困りごとはなんでも解決いたします。
少しでもお悩みの方は、ぜひ特殊ネジ・リベット製造.comまでご連絡ください!
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