ネジ変換アダプターとは?インチ・ミリの異径接続や特注製作のポイントを解説
ネジ変換アダプター(異径アダプター)とは?

産業用機械や半導体製造装置、各種プラント設備において、流体配管や機械要素部品を接続する「ネジ変換アダプター」は、決して目立つ存在ではありませんが、装置の機能を成立させるために重要な部品です。
一般的に、ネジ変換アダプター(異径アダプター、変換継手、異径ジョイントとも呼ばれます)とは、異なる規格やサイズを持つ「オネジ(雄ねじ)」と「メネジ(雌ねじ)」、あるいは配管同士を接続・締結するための仲介役となる部品を指します。 通常の設計であれば、接続する機器同士のネジ規格は統一されていることが理想です。
しかし、実際のモノづくりの現場、特にグローバルに展開される装置産業においては、規格の統一が困難なケースが多々発生します。例えば、海外製のセンサーやバルブ(インチ規格やNPT規格)を、日本国内規格の汎用配管や継手(メートル規格やR/Rc規格)に接続したい場合などが典型例です。
ネジ変換アダプタの種類

ネジ変換アダプターは、接続する機器や配管の仕様に合わせて多種多様な形状が存在します。最適なアダプターを選定・製作するためには、まず「接続形状(オス・メスの組み合わせ)」と「変換内容(規格・サイズの組み合わせ)」という2つの軸で分類を理解しておく必要があります。
ここでは、設計現場で頻繁に用いられる代表的な種類と、それぞれの特徴について解説します。
接続形状による分類(オス・メス)
オネジ × オネジ(ニップルタイプ)
両端がオネジになっている形状です。「六角ニップル」や「異径ニップル」とも呼ばれます。主に、バルブやポンプ、マニホールドブロックなどの「メネジ」が切られている機器同士を接続する場合に使用します。中央にスパナを掛けるための六角部(六角つば)が設けられているのが一般的です。
オネジ × メネジ(ブッシング・アダプタータイプ)
片側がオネジ、もう片側がメネジになっている最もポピュラーな形状です。使用目的によって、呼び名が延長アダプター、ブッシングなどと変わることがあります。
メネジ × メネジ(ソケット・カップリングタイプ)
両端がメネジになっている形状です。主に配管パイプや、オネジが出ている機器同士を接続するために使用されます。
変換内容による分類(規格・サイズ)
形状が決まれば、次は「何を何に変換するか」という規格の組み合わせです。ここで、市販品では対応しきれない「特注ニーズ」が数多く発生します。
異径変換
「M10からM8へ」「R1/2からR1/4へ」といったように、同じ規格の中でサイズ(呼び径)だけを変更するパターンです。
異規格変換(インチ ⇔ ミリ)
管用ネジ規格の変換(NPT ⇔ R/Rc/G)
配管用ネジにおける「アメリカ規格」と「日本/ISO規格」の変換です。
NPT(アメリカ管用テーパネジ)⇔ R/PT(管用テーパネジ)
見た目は似ていますが、ネジ山の角度(NPTは60°、Rは55°)やピッチが異なるため、無理にねじ込むと破損や漏れの原因になります。海外製ボンベや分析機器をつなぐ際に必須となる変換です。
G/PF(管用平行ネジ)⇔ R/PT(管用テーパネジ)
平行ネジとテーパネジという、シール方式が異なる接続を変換する際にもアダプターが用いられます。

既製品のネジ変換アダプター選定で直面する「3つの壁」
ネジ変換アダプターには多種多様な組み合わせが存在しますが、実際の設計・調達現場では「必要な仕様がどこを探しても見つからない」という事態が頻発します。
【規格の壁】海外製装置や旧型機械で適合するサイズがない
1つ目の壁は「規格の不一致」です。 特に海外製装置では「ユニファイ(インチ)」や「NPT」が主流であり、国内標準の「メートル」や「R/Rc」とは接続できません。 特定の組み合わせや、旧型の「ウィット」、メーカー独自の「特殊ピッチ」などは、大手ECサイトやカタログメーカーのラインナップには存在しません。カタログにない以上、既製品では解決できず、装置の立ち上げやメンテナンスがストップしてしまいます。
【形状の壁】スペースが狭く、市販品の全長や六角部が邪魔になる
2つ目の壁は、物理的な「スペースと形状の制約」です。 装置の小型化に伴い、汎用的な市販アダプターでは「全長が長すぎて収まらない」「六角部が大きすぎて隣の部品と干渉する」という問題が多発します。 「あと数ミリ短ければ」「六角を無くせば入るのに」といった現場特有の微調整ニーズに対し、大量生産された標準品では対応できません。
【情報の壁】図面がなく、現物合わせが必要だが対応先がない
3つ目の壁は「情報の欠落」です。 老朽設備の補修や詳細不明な海外製部品において、「現物はあるが図面がない」「正確なネジ規格が不明」というケースです。 一般的なメーカーでは「図面がなければ見積もり不可」と断る場合もあるため、「現物合わせ」での製作依頼先が見つからず、多くの担当者を悩ませる要因となっています。
特殊ネジ・リベット製造.comだから可能な「特注」ネジ変換アダプター
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市販品の「六角部」が邪魔になる狭小スペースにも対応可能です。 六角を排除した丸形状や、全長を限界まで詰めた「極短仕様」、内径の特殊加工など、自由な設計を実現します。材質も真鍮・SUSから、樹脂・チタン・ハステロイ等の難削材まで幅広く対応します。
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ネジ変換アダプターの製品実績をご紹介
管用異径継手 R1/4×M18

こちらの製品は、NC旋盤で削り出して製作しております。継手として使うので、管用ネジになりますが、ロットが多い場合は、圧造での製作実績もございます。特殊継手部品については、特殊ネジ・リベット製造.comまでご相談ください。
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異径アダプター 5/16×15㎜-M10×23

こちらの製品は六角材から削り出して製作しております。頭部には穴タップ加工をしておりますが、止まり穴ですとメッキの液だれなどの懸念点をお伝えしております。
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規格外のネジ変換・異径接続のことなら、特殊ネジ・リベット製造.comへ
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