低頭ボルト・低頭ネジとは? 頭部低さが及ぼす影響と、メリット・デメリットについて解説!
低頭ボルト・低頭ネジとは?
低頭ネジとは、一般的なネジよりも頭部の高さを低くしたネジのことです。低頭という言い方にはなっていますが、頭部の低さに関する一般的な頭部規格のようなものがないため、ネジメーカーが独自の規格を定めているのが現状です。ただし、どのネジメーカーも「ナベ」「バインド」「トラス」等の小ネジのJIS規格に該当する頭部形状品よりも頭部高さは低く製作されたものを低頭ネジと呼んでいます。
また、低頭ネジよりもさらに頭部の高さを低くしたネジのことを、超低頭ネジまたは極低頭ネジ、スリムヘッドと呼ぶことがあります。
低頭ネジは、低頭ボルトとも呼ばれますが、径の大きさが小さいものは低頭ネジ、径が大きいものは低頭ボルトと呼ばれることが一般的です。
低頭ネジ・低頭ボルトのメリット
低頭ネジや低頭ボルトのメリット、つまり頭部高さが低いことで生じるメリットは、主に下記の4点です。
・クリアランス(取り付けスペース)が限定されている箇所に使用可能
・外観を損なわないため意匠性に優れている
・ネジ自体の軽量化
・皿モミやザグリができない部品に対しても使用可能
まず、ネジやボルトを取りつけるスペース(クリアランス)が限定されている場合に、低頭・極低頭ネジは使用されます。逆に、低頭ネジを優先して使用することで、機器・装置の省スペース化を実現することもできます。
また低頭ネジを使用することで、取りつけ後の突出部分が少なくなります。これにより、外観を損なわず、デザイン性・意匠性に優れているという特徴が低頭ネジにはあります。
3つ目の低頭ネジを使用することにより発生するメリットが、ネジ自体の軽量化です。ネジ部の重量は、強度の問題からなかなか軽量化をすることが難しくなっています。しかし頭部形状は、比較的軽量化をしやすい部分になります。そのため、装置・機器の軽量化をご希望されるお客様からは、低頭ネジがほしいというオーダーを当社でも頻繁にいただいております。
さらに、ネジを締結する相手部品である板金部品に対して、一般的に行われる加工方法が「ザグリ」や「皿モミ」です。しかし板金部品の材料によっては、ザグリや皿モミの加工をすることが困難なものもあり、または板金部品自体が非常に薄い場合は、ネジの頭部部分をしまうための加工を施すことができません。そのような場合にも、低頭ネジを使用することで頭部形状を低くすることができるため、板金部品に合わせて低頭ネジ・極低頭ネジが選択されることも多くあります。
低頭ネジ・低頭ボルトのデメリット
一方、低頭ネジや低頭ボルトには下記のようなデメリットもございます。
・引張強度が低下してしまう
・穴が浅く、なめやすい
まず、頭部高さが低くなるにつれて、どうしても強度は落ちてしまいます。そのため、大きな力が働く箇所には低頭ネジはあまり向いていません。低頭ネジを使用する際は、強度計算を慎重に行う必要があります。
また低頭という名前の通り、頭部形状が低いため、必然的に穴深さも浅くなってしまいます。そのため、工具がネジに引っかかりにくく、どうしてもなめやすくなってしまいます。なめやすいという低頭ネジのデメリットがあるため、何度も付け外しを行うような場所には、低頭ネジが向いているとは言えません。
頭部形状ごとによる低頭具合を比較!
低頭ネジ・低頭ボルトには、いくつか頭部形状の種類があります。(多くの場合、上から順に頭部高さが低くなります。)
・ローヘッドキャップ
・薄バインド
・低頭キャップ
・スリムヘッド
ローヘッドキャップは、六角穴付ボルトの頭部高さを低くしたものを指しますが、低頭ネジの部類の中では頭部高さが高めのネジに当たります。
しかし、それ以外の低頭ネジは、「ナベ」「バインド」「トラス」といった一般的な締結部品よりも頭部高さが低くなります。M6で比較した場合は、一般的な締結部品では頭部高さが3.5~4mmなのに対して、薄バインドは約2.5mm、低頭キャップでは約1.5mm、スリムヘッドは最も頭部高さが低くなり、約1.2mmになります。
上記の通り、低頭ネジにはメリットもデメリットもございます。そのため、使用用途に合わせて最適な低頭ネジを選択する必要があり、強度計算もきちんと行う必要があります。
特殊ネジ・リベット製造.comが提供する低頭ネジ・低頭ボルトの特徴は?
低頭ネジ・低頭ボルトは特殊ネジ・リベット製造.comが得意としている締結部品の1つです。当社では様々な締結部品の製造を行っており、家具や自動車、建築等の様々な業界の設計者の要望に応えてきました。
当社では、鉄やステンレス、銅、真鍮、炭素鋼など、様々な素材・材質の低頭ネジを取り扱っております。そのため、お客様の使用用途などに合わせて、最適な材質の提案をすることが可能です。
>>>締結部品のコストダウン事例一覧はこちら
>>>特注低頭ネジの事例一覧はこちら
低頭ネジの事例①:小頭ローヘッド(M3mm×L4mm)
続いて、当社が実際に製作した低頭ネジの事例です。
こちらは、産業機械の一部品として使用される小頭ローヘッド(M3mm×L4mm)です。本製品は、見た目は単純な低頭ネジといわれる製品ですが、先端部分が異形状となっているため、特注部品として当社に依頼がありました。
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低頭ネジの事例②:半導体製造装置向け 特注低頭ネジ
続いてこちらは、半導体の製造装置に使用される製品です。頭部のマイナス溝は圧造でいれた後に、穴タップ加工をし、最後にツバを薄く平らに切削しております。
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低頭ネジの事例③:プレート固定低頭ねじ
こちらの製品は、プレート固定低頭ねじです。
こちらは、産業機械の固定位置決めとしてご利用いただけます。
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低頭ネジの事例④:六角穴付き低頭ねじ
こちらの製品は、六角穴付き低頭ねじです。
こちらは、産業機械の固定位置決めとしてご利用いただけます。
今回、お客様が小ロット生産をご希望されていたので、鍛造ではなく削り出しにて製作いたしました。
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低頭ネジの事例⑤:低頭ボルト M4X10
こちらの製品は、非常に頭部の薄い低頭ネジになります。省スペース化や軽量化、意匠性に優れており、ステンレス製も多く流通しておりますが、こちらは鉄材に2種類の異なるメッキをつけております。
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低頭ネジの事例⑥:低頭六角ボルト M5×50
こちらの製品は、ロット2000でしたので、市販品の六角ボルトから頭部を薄く切削し製作致しました。加工時にネジ山をつぶさないようにすることがポイントです。加工後は画像処理選別機でネジ山と頭部高さを全数検査しております。
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低頭ネジの事例⑦:極薄低頭ネジ
こちらの製品は、基盤の固定に使いますが、設計上スペースがないということで、0.3㎜厚のツバで専用に製作いたしました。金型は一部製作しましたが、少量でも鍛造で製作しております。
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低頭ネジの事例⑧:SUS六角穴付き低頭ボルト
こちらの製品は、SUS六角穴付き低頭ボルトです。この製品は少量でしたので鍛造ではなく削り出して制作いたしました。
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低頭ネジのコストダウンのポイントとは?
当社では、メーカー規格品にない特注低頭ねじの製作を得意としており、近頃は非常に多くのお問い合わせをいただいております。特注低頭ねじの加工において重要なポイントは、下記の3点にまとめることができます。
・削り出しから鍛造加工への工法転換
・鍛造で製作する際は、つばを厚く成形しておいて、後に切削して薄くする
・丸棒に六角穴を作る際は、下穴+プレスで!
詳細については、特殊ネジ・リベット製造.comが低頭ねじのコストダウンのポイントをまとめた下記の技術資料がございますので、以下のリンクより詳細をご確認ください!
低頭ねじ 特注製作サービス
いかがでしたでしょうか。 当社では、低頭ねじの特注製作サービスも行っております。
メーカー規格外の低頭ねじの製作に対応いたします!
また、特殊ネジ・リベット製造.comでは、ネジ部長さの変更はもちろんのこと、頭部形状の変更、意匠性の付与など、様々なご要望にお応えいたします!
さらに、製作数量にあわせて最適な工法提案をいたします!
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以下のリンクより低頭ねじ特注製作サービスの詳細をご覧下さいませ!
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低頭ネジに関するお困りごと、なんでも解決いたします!
特殊ネジ・リベット製造.comを運営する株式カネコは、ネジの2次加工と冷間鍛造における日本屈指のプロフェッショナルとして、様々な特殊ネジや特注リベットの製造・2次加工を行ってきました。また当社は、全国各地にあるネジ加工のサプライヤーと構築した強固なネットワークを保有しています。そのため、当社によるVA/VE提案をするだけでなく、最適なネジ加工のサプライヤーも踏まえたコストダウン提案をすることができるため、お客様に最適な商品をお届けすることが可能となっております。
つまり当社では、加工技術にあまり詳しくないネジ商社と比較して、より安く、よりお客様のご要望に沿った締結部品を提供することが可能となり、これらの理由から大手メーカー様からも支持されてきました。
さらにカネコでは、製品の熱処理やメッキ処理、全数検査まで対応しております。当社では業界に先駆けて、画像処理選別機を開発・導入し、TS16949/ISO9001などの国際標準基準に対応した最新の検査システム開発を行っています。この最新検査システム「View Checker」では最大4台のカメラを内蔵し、1台あたり1/60秒の超高速画像処理を実現しています。4台のカメラでは、128ヵ所の計測と256ヵ所の特徴抽出を1秒間に15回行う能力があり、最小で±0.02㎜の寸法公差にもなる高精度検査にも対応します。
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